狭い山道を越え長い階段を登り慰霊碑を目指しているあいだずっとナニかがついてきます。
草を踏みつけるようなカサッカサッという音や小石を蹴飛ばすカツンという音が背後からついてきます。
4人で行ったのですが恐怖のせいか前もって打ち合わせたかのようにみんな後ろを振り向く事なくひたすら進み続けました。
ようやく慰霊碑にたどり着き写真を撮ろうとすると何故かシャッターが下りません。
さらに持っていたライトが切れあたりは真っ暗に。
月が雲に覆われているせいで、他の3人を認識するのも困難なほどに視界が悪くほぼ何も見えない状態です。
それなのに何故かだれかに見られている感じだけはハッキリと分かりました。
ライトを捨て携帯電話の乏しい明りだけを頼りに急いで帰りました。
長い階段を下り狭い山道を越え全力で走りました。
すると後ろのほうで『ウワー』という叫び声が聞こえ振り向くと仲間の1人が倒れています。
みんなで戻り急いで掴み起こすとまた走り出しました。
なんとか車に乗り全員揃って無事に帰路につく事ができました。
帰りの車中では『お前ビビりすぎだろw』『お前こそ顔が真っ青だぞw』と笑いながら会話できるほどにさっきまでの恐怖は嘘のように消えていました。
僕と他の2人からは。
1人俯いて震えているそいつに僕が『叫び声がしたからビックリしたぞwなに転んでんだよw』と声をかけるとまだ震えが止まらない口を開いて『転んだんじゃない・・・肩を掴まれて引っ張られた』と言いました。
僕はあの視線を思い出して一瞬ゾッとしました。
仲間の1人が『気のせいだろ、きっと木の枝にでも引っ掛かったんだよ』と言うと『気のせいじゃないんだ』と言いながら服の襟をずり下げ肩にハッキリと残っている手形を見せてくれました。
その手形は2~3日後には消えており、それ以降も特に変わった事はありませんでした。
もしかしたらあれは僕たちへの忠告だったのかもしれません。
次は取り返しのつかない事になりそうな気がするのでもう慰霊の森に足を踏み入れることはないでしょう。
慰霊の森での体験談でした。
名無しさん